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『ガチ☆ボーイ』佐藤隆太&宮川大輔 単独インタビュー
眠るとその日に起きたことを忘れてしまうという、高次脳機能障害という障害を抱えた青年が、学生プロレスを通して生きることの素晴らしさを再確認していく青春ストーリー『ガチ☆ボーイ』。主役の五十嵐を演じた佐藤隆太と、リングアナウンサー“チョチョチョッピ君島”を演じた宮川大輔が、本作の魅力を存分に語ってくれた。
ガチ☆ボーイ
キャスト・スタッフ
解説・あらすじ
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■現場で僕たちが信じていた“熱”
Q:本編からは、皆さんの汗と涙の努力が伝わってきましたが、出来上がった作品を観ていかがでしたか?
佐藤:
どの作品もそうなんですけど、自分が出ている作品はなかなか客観的に観られないんです。僕が演じた五十嵐っていう男は、高次脳機能障害で、眠るとその日の記憶をなくしてしまいます。そういった感情面での演技に加えて、もうひとつの大きな課題がプロレスでした。ですから撮影は、精神的にも体力的にもギリギリまで出し尽くした感じでした。その作品が本当に出来上がったんだという思いがあって、すごくうれしかったですし、現場で僕たちが信じていた“熱”が、スクリーンを通して刻まれていたので、あとはもうそれが皆さんに伝わってほしいという思いでいっぱいです。
宮川:
最後のシーンの撮影とか、ほんまに、すごく熱かったんですよね。もうスタントとかなしに全部みんなでやっていて、この現場の熱さがそのまま伝わればいいな……と思って見てたんですよ。監督が見事に再現していたので、観ていてグッときましたね。
Q:五十嵐は、“眠ると1日のことを忘れてしまう”という高次脳機能障害を抱えた青年です。彼の1日を追うシーンはとても印象的で、涙が止まりませんでした。
佐藤:
あのシーンは一番難しかったです。あの撮影をしたとき、すごく怖かったんです。今回五十嵐を演じて、実際に高次脳機能障害を抱えている皆さんに対しても、それから僕が演じた五十嵐っていう男に対しても、絶対に失礼のない演じ方をしたいと思ったんです。すべてのシーンにおいて、五十嵐が抱えている恐怖心だったり、不安感だったり、孤独感みたいなものを、常に考えていました。ですからあのシーンは、彼の日常をストレートに表現するとても大切なシーンでした。毎日、いろいろ考えながら現場に入ってはいるものの、僕がやろうと思っている表現の仕方が果たして合っているのか……という責任感やプレッシャーがありました。でも、もう自分を信じるしかないというか、あとは監督の皆さん、スタッフの皆さんを信じてやるしかない! と思って演じました。ですからあのシーンを観て、五十嵐の気持ちが伝わったのならば、ホッとするというか、すごくうれしいです。
■大輔さんから力をもらった
Q:宮川さんの実況アナウンスがかなり面白かったです! どんな工夫をされたんですか?
宮川:
その場その場でなんですけど、やっぱり面白くやらなあかんとか、いろいろ言葉巧みにやらなあかん部分が実況アナウンスなんだと思うんです。でも実際は、“学生プロレス”のボキャブラリーがないので、これはどうしようかなと。でも、監督や、共演者のみんなに、アイデアをもらって、ノリで楽しくやっていました。でも自分が気に入っている部分はあんまり使われず……みたいな(笑)。
Q:佐藤さんは、宮川さんの実況の中でプロレスをされていかがでしたか?
佐藤:
リング上での試合が、必ずしも大輔さんの声と一緒に撮れるわけではなかったんですが、テストのときには必ず、毎回いろんな表現で話していただきました。本番に向かうまでに、実況と自分の動きがドンピシャに合うと、すごくテンションが上がるんですよね。だからそういった意味では、周りのセコンドについてくれる皆さんにも支えられましたけど、実況の席から見守ってくれている大輔さんからも、また違った力をもらっていました。
宮川:
ただね、ほんまに悲しかったのが、毎回実況をできなかたこと。毎回やりたかったんですけど音声の問題もあって、「ここちょっと黙っといてもらえますか」ってなると、口パクでやるわけですよ。それがもう……「アーーーーーーーーッ!」て(笑)! それを我慢するのに、ものすごい苦労しました。
■痛みや傷を得たときに五十嵐とリンク
Q:試合のシーンは、痛そうな技を受け続けていましたが、恐怖心はなかったですか?
佐藤:
正直に言わせてもらっちゃうと、「用意スタート!」って声が掛かるのが、めちゃめちゃ怖かったんです。本当に大技をかけられた後に、すぐまた大技、という繰り返しだったので、気が抜けないというか……、恐怖心の連続でした。でも、ある瞬間にちょっと思ったことがあったんです。僕が演じている五十嵐は、プロレスから得られる痛みや傷から、生きる実感を取り戻していきますよね。リング上に立ったとき、怖くはあるんだけど、実際に痛みや傷を得て初めて自分が五十嵐とリンクしたんです。ずっとやりたかったこの五十嵐という男を、ほかの誰でもなくて、この佐藤隆太が演じていられるんだなっていう実感を持てたんですよね。だから、そういう風に思えるようになってからは、すごくポジティブになったというか、痛みを受けることにネガティブにならなくなりました。
Q:オール北海道ロケということで、共演者とのきずなが深まったということはありましたか?
佐藤:
それはすごく大きいです。もともとそれを念頭に入れての合宿状態だったと思います。最初はホテルで、途中からレオパレスでしたけど、ホテルはそのフロア全員共演者ですし、レオパレスは1棟まるまる出演者とスタッフだったので、みんな鍵開けっ放しで、いつでも行き来できるような状態でした(笑)。それでもやっぱり2か月間もいると不満も出てきたりするわけですよね。不満も言い合えるような仲になったことが、無理やり作った関係ではなくなったという意味で、作品にいい影響を与えたんだと思います。
宮川:
不満があってもそれを言えへんでたまっていくより、そっちの方がいいじゃない?いうても、そんなしょっちゅうケンカしていたわけではないけどね。あとね、自分の部屋が204で、隆太くんが201だったんです。で、201の前を通ろうとすると、暑いんで、ドアが開いているわけですよ。北海道やし、クーラーなかったから(笑)。普段は見られない部分が、見えたりしてね(笑)。現場では、ホテルに入ってしまうとそんなんないじゃないですか。そういうのも面白かったです。
■毎日をかみ締めて生きていきたい
Q:撮影を通して学んだことや、成長したことはありますか?
佐藤:
すごくシンプルなことです。僕らが本当に大事にしなければいけない、生きるということに対して、僕が演じた五十嵐は、毎日を全身全霊で生きているんです。生きる力がなくなってしまうような状況に置かれても、絶対にあきらめずに毎日を生きているんです。やっぱり僕自身、彼を演じたことで、そういう姿勢をもう一度考えたいというか、今まで僕は彼ほどの精神力や強さを持っていなかったけれど、今回せっかく五十嵐という男を演じさせてもらったんだから、この経験を生かして、これからは毎日をかみ締めて生きていきたいという思いがすごく強くなりました。
実況が命と言われるほど、ユニークな実況が特徴の学生プロレス。心からノリで実況を楽しんでいたと本人が話していたとおり、宮川の実況は必見の面白さだ。そして『木更津キャッツアイ』シリーズなどで、底抜けに明るいイメージが強かった佐藤だが、インタビューで見せる演技への真剣な姿勢は、“五十嵐”の真っすぐな熱意とリンクする。感情面での演技、そしてプロレス……難しい役柄に挑戦し、五十嵐という青年の生きざまを見事に演じ切った佐藤の役者魂が、体を張ったクライマックスのプロレスシーンで大きな感動を誘う。『ガチ☆ボーイ』は佐藤にとって、痛い思い出とともに忘れられない作品として残っていくだろう。
佐藤隆太 ヘアメイク: 白石義人 スタイリスト: 勝見宜人
宮川大輔 ヘアメイク: 柳美保 スタイリスト: 馬場圭介
取材・文: シネマトゥデイ 写真: 鈴木徹
映画『ガチ☆ボーイ』は3月1日より全国東宝系にて全国公開
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